2020年に日本の英語教育改革が行われました。中学校では2021年に新学習指導要領が全面実施となり、「授業を英語で行うことを基本とする」という方針が示されました。この改定は大きな話題となり、教壇に立つ先生たちの間にも激震が走りました。All Englishといわれている「英語で行うことを基本とした授業」はどうなのでしょう。
結論から言うと、必ずしもAll Englishで行わなくてもいいと思っています。All Englishというよりも、British Councilが提唱しているEnglish Richな授業を目指したいと思います。スポーツの世界では「名選手、名監督にあらず」という言葉をよく耳にしますが、それと似ているのではと考えています。先生が英語を話すよりも、生徒が英語を話すことの方がはるかに大事です。こんな状態を見たことありませんか?
ALTとのコミュニケーション活動場面です。ALTが生徒たちに問いを発しました。生徒たちは即座に口から英語が出てこず、数秒から数十秒ほどの間(ま)ができます。するとその間(ま)に耐えられないALTは矢継ぎ早に次の質問を投げかけます。加えてALTが自分のことを話したり、相手の言いたそうなことを先取りしてしまったりします。
もちろん全て英語で行われています。だからAll Englishの授業ではあります。言葉の定義の問題かもしれませんが、全て英語で行うことを否定するわけではないですが、適切に英語をインプットさせ、英語でアウトプットさせることをねらいたいものです。どの教科、どの授業でも先生の話しすぎは問題になります。「先生が適切に英語を使い、生徒が適切に英語を使う」これが良い授業には必須です。「言いたいことを英語で産出できる」ようになることが英語教育の最大の目標の一つです。その大命題のためには何が必要か、本質を見抜く目をもち、より良い方法を模索する教師でありたいものです。