授業づくりのスタートは、目標設定です。経験を積んでいくと中学校卒業時の英語力をイメージして逆算的に単元や1時間を考えられるようになるのかもしれません。しかし、初任の先生やいわゆる若手と言われる経験の浅い先生にそれを求めるのは難しいでしょう。「せめて今日の1時間が上手にできるようになりたい。」そんなことを思っても不思議ではありません。
どこまで先が見通せるかは置いておいて、どちらにしてもやるべきことはゴール設定です。小学校から中学校までの9年間であろうと、中学校の3年間であろうと、今日の1時間であろうと、ゴールが存在していなければ授業は迷走していきます。ゴールのない迷路に迷い込んだら永遠に出られません。教科書とにらめっこして、「何ができるようになればいいの?」と自問自答してください。
本当なら中学校卒業時から逆算して考えたいですが、せめて単元レベルでゴール設定ができるとよいと思います。なぜなら、日本の英語の教科書は単元ごとに一つの文法を扱っているからです。各単元で文法事項が配列され、単元の中では繰り返し出てきます。単元が終わったときに、その文法事項を用いて表現できるようになることをねらっているのです。一つの単元がマラソンのレースだとしましょう。スタートラインに立っているときに、どこを目指していますか?と問われたら、もちろん「ゴールです。」と答えますよね。「わかりません。」と答える人は一人もいないでしょう。ということは、英語の授業も一つの単元を学習している間は、常に単元の終わりに向かって走っているはずです。
授業の最小単位は1時間ですが、学習内容の最小単位は単元です。だからせめて単元レベルでゴールを設定したいのです。いくつか例をあげてみます。
(単元の終末にでできるようにしたいことの例)
・イラストや写真を3〜5文程度の英語で描写することができる。必ず現在進行形を用いた英文を一文は含むこと。
・世界に広がっている和食について写真を用いてプレゼンテーションすることができる。
ゴール設定の仕方は様々ですが、できるようにしたいことがあればそのゴールに向かって必要な時間数を割り出してどのように組み立てていくかを考えることができますね。これから始める単元では、何ができるようになればいいですか。まずはゴール設定を見直してみましょう。