アクティビティ

目標設定とアクティビティ

最後のアクティビティから考える

「明日はどこのページかな。」授業の準備のために教科書を開く先生がいます。「このページか。じゃあ抑えなければいけない英文はこれとこれ。この連語はテストに出るだろうからきっちりやらないといけないな…」こんなふうに1時間で1ページを扱い、各ページでは何を教えるかを考えている先生は意外と多いのだと感じています。先生は親切で丁寧です。だから何をどのように「教える」かを考えるんですね。自分の受け持っている生徒がテストで点数が取れないと困るから。その結果、知識伝達型の文法訳読式と言われる授業から脱却できなくなってしまうのです。

まずは目標設定から

どの授業でも必ず目標を設定するはずです。その目標は単元の目標から逆算して導き出されます。目標がないと本文を理解するのに必要な言語材料を解説して終わってしまいます。毎時間きちんと目標設定をしてみましょう。目標設定には次の2つの考え方が大切です。

生徒が「何ができればよいか」を考える

国語の先生が授業をしたあとの黒板は、いつも目標が書かれていて四角で囲まれていました。それを見て感じていたことがあります。国語の授業の目標って「筆者の主張を読み取ろう」とか「主張の根拠を考えよう」みたいな「〇〇しよう」という活動が書かれていたんです(そうじゃない先生ごめんなさい)。わたしにはすごく違和感がありました。目標は「生徒が何ができればよいか」を明確にする必要があります。授業の中で何かの活動をすること自体が目標になることはないのです。目標は「力ベース」で考えるべきです。1つ目の「読み取ろう」ならわかります。しかし2つ目の「考えよう」は目標にはなり得ないのです。考えた結果何ができればよいか、を目標に設定すべきです。英語でもそれは同じです。教科書を扱うかどうかは別として、単元や1時間の最後に何ができるようになればよいかを考えると目標設定がうまくできるようになります。

「どのくらいできればよいか」を考える

もう1つ考えるべきことは「どの程度できればよいか」です。「何を」と「どのくらい」は並列の関係で目標設定をしましょう。例えば、1年生で自己紹介をする単元を行うとしましょう。「何が」は「自己紹介ができる」となります。これだけにすると実際の授業では困ったことが起きます。

Hello.  My name is Blashee.  I am from Japan.  I like English. I like soccer.  I like apples.  Thank you.

さて、これは先生が求める目標にたどり着いているのでしょうか。確かに自己紹介をしています。おそらく多くの先生は「ちょっと少なすぎじゃない?簡単すぎじゃない?likeしか使っていないよ。」なんて感じるのではないでしょうか。目標として生徒に明示するかどうかは別として、先生の中では「どのくらい」を明確にもっていないと生徒たちに適切に指導することはできません。

目標に合うアクティビティを設定する

「何を」「どのくらい」を考えて目標設定をすることができたらアクティビティを設定します。授業の最後にどのようなアクティビティを行って目標が達成できているかどうかを判定しますか?先の自己紹介の授業なら、一人でブツブツ喋ればいいですか?それとも4人程度のグループで30秒くらいずつ順に発表していきますか?それともみんなの前で転校生の役をやらせますか?いろんなアクティビティが考えられます。どれを選択するにしても、「これができたから目標クリアだ」となるものでなければなりません。最後に行うアクティビティが難しすぎて「これ別の練習が必要じゃん」となると目標達成はできないですよね。目標設定とアクティビティは表裏一体です。必ず目標に合うアクティビティを設定しましょう。

よい授業づくりのためには最後のアクティビティから考えていく必要があります。教科書を開いて「明日はどこをやろうかな」ではなく、「この単元では何ができるようになればいいのかな」「そのためにこのページはどう扱おうかな」という思考に転換してみましょう。単元や1時間の最後に行うアクティビティから考えるようになると生徒たちは主体的に学ぶようになります。脱・文法訳読式、Activity Basedの授業をつくっていきましょう。

 

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